■はじめに

 自分のカラダを見つめ直すとき、解剖・生理学的な面、または各種運動学的な面から見つめ直す前に基本的かつ大切な事があります。それは、身体の『本来の在り方』です。その在り方には“動物としてのカラダ”と“個性”の2面性があります。

 

“動物”としてのカラダ

 私たち人間は、学名を『ホモサピエンス』といい、そのルーツをチンパンジーやゴリラと同じにしている“霊長類”の動物です。
 さらには、チンパンジーとゴリラは霊長類の中でも、手を地面に着ける際には甲側を向けて指の表面を地面に着いて歩く“指背歩行(ナックルウォーキング)”を行う類人猿であり、英語表現で「Ape(エイプ)」と言います。ニホンザルやマントヒヒのように手の平を地面に着けて犬や猫のように歩く「Monkey(モンキー)」とは身体運用を異にしています。( ※邦題『猿の惑星』という映画の英語原題は『Planet of the Apes』といいます。)
 私たちは直立二足歩行という特別な歩き方を身につけた霊長類ですが、それは、指背歩行の延長上にあると言えます。よって、指背歩行を行っているチンパンジーやゴリラの動きをあらためて観察していると、私たち人間の体の流れのベースも見えてきます。とりわけ、脊柱から肩胛骨にかけての本来の動きは毎回見直しても、様々な気づきを得られます。

 

「個性」

 世界の人口は2013年、(推計) 72億人と言われてます。これほどの人間が地球上に存在しているわけですが、当然ながら、まったく同じ姿と心を持った二人の人間はいません。全人類の全てが固有の存在であり、個性を持っています。
 昨今世に知られ始めた「ゲノム(genome)」("gene(遺伝子)"と"chromosome(染色体)"を組み合わせた言葉)は、生物のもつ遺伝子(遺伝情報)の全体を指す言葉ですが、このゲノムは個人を特定するもっともミクロな世界の個性と言えます。このミクロな個性に対し、マクロな個性は、「カラダ」そのものです。
 “顔”“体格”“動き方”が自分と全く同じ人間はいません。そのことは、例えばテーブルの上のコップを手にとって口に運ぶという日常のカラダの使い方一つ取っても、自分と全く同じく動いている人がいないという事です。
 よって、カラダの使い方・動かし方には自分自身に適した使い方・動かし方があるということです。

 

「再確認」「再認識」

 スポーツ、格闘技、舞踊、等々、この世には様々な運動の世界があります。それぞれの世界で活動されている人は今の自分の身体能力をもっと高めたいと思うのが自然な意識です。とりわけ競技の成績を求めている人はより強い意識を持っていることでしょう。そのために、指導者(先生・コーチ)から専門のトレーニング法を学び、専属のトレーナーや医療系の施術者からはケアやアドバイスを受けていることでしょう。
 さらにはカラダのバランスや健康を維持・増進するための各種ボディワークの世界からもカラダ作りやヒントを得ている人もいると思います。それぞれの先生方による独自のボディワークは日頃の専門的な練習(レッスン)をさらに高めるための一助となっていると思います。

 BODY-WILLはそのような専門分野、または、各種分野のカラダへのアプローチ法とは一線を画しています。
 専門分野はまさに専門のトレーニング方法やケア方法ですので除きますが、ボディワーク的な点から述べますと、各種ボディワークは独自の理論や実績に裏付けされた方法論に基づいて、精神性も含め「動き方(動かし方)」や「回数」「時間」「呼吸」等の全て又はいずれかを設定しているのがほとんどです。

 BODY-WILLは、出来る限り“本人の感覚”に委ねます。たとえ「動き方(動かし方)」を行っても、左右同型・同角度のような画一性は求めません。「回数」や「時間」「呼吸」についても決めません。その意味は「今の自分のカラダの状態を“ごまかさず”に素直に受け入れ、また、閉ざしていた感覚を目覚めさせていく」ということです。
例えば、ごく普通に両手を交互に前に伸ばした時、果たしてまったく同じような感覚や角度や伸びの具合でおこなえているのか、利き手と、そうではない方では違うと思います。その状態を素直に受け入れず、左右同様の画一的な動かし方をしても当然ながら、左右同等のパフォーマンスは得られていません。
さらには、両腕を交互に伸ばそうとしたとき「カラダ」そのものの在り方を一度見直します。例えば『人間の腕とは本来どのように動く構造なのか』をあらためて見直します。そうすることで自身のカラダを再確認していきます。人間である前に「動物」であることをあらためて認識し、ホモサピエンスという霊長類の身体構造を再確認するということです。

青木 武

ボディウィル 主宰
日中武術交流協会 常務理事
文科省公認 スポーツプログラマー

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